せっかく利益が出ているのに、利益の確定のタイミングを見極めるのは誰にとっても難しいです。株式投資の書籍の多くは「買い」についての記述ばかりです。企業のファンダメンタルズを株価が下回っていたら買い時です。四季報を使って企業分析をして安値で買います。でも、せっかく安値で買ったのに「売り」のタイミングを捉えるのは難しいです。
人間の頭脳は、ネガティヴな事象を分析するのを得意としています。企業のダメな点を列挙できても、良い点に確信が持てません。「買い」より「売り」が難しいわけです。
株式投資に限らず確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)でも同じ悩みが付きまといます。
吹き値売りが手堅い
突っ込み買いの吹き値売り。株の格言です。
普段は相場の流れに従い小まめに売買します。そして相場がいつもより急激に下がれば「突っ込み買い」、急激に上がれば「吹き値売り」を仕掛け利益を得ます。
相場の底値と高値を狙う「逆張り」投資は売買のタイミングがどうしても少なくなりますが、相場の波に乗った「順張り」投資では小さなチャンスが頻繁にやってきます。
普段から売買に慣れ親しんでおけば、わずかな上昇であっても敏感になれます。「吹き値売り」によって手堅く利益を確定できるようになります。
吹き値売りの実践結果
トランプ・ラリーにあやかった日本市場は膠着状態です。5月頃より日経平均株価は2万円前後でピタリと止まりました。面白味に欠ける相場が続きますが、私は確定拠出年金のスイッチングを毎日行いチャンスを伺っています。
日経平均株価は14ヶ月連続で月初の営業日に上昇しています。もはやアノマリー化(理論的には説明できない事象)しています。月初は売りのチャンスです。
2017年7月の私の実践結果です。
東証株価指数(TOPIX)をベンチマークをした「DIAM 国内株式インデックスF<DC年金>」を運用しています。この商品を7月にコツコツと買い増し、8月月初の営業日に大きく「吹き値売り」をして利益を確定しました。
7月のTOPIXは月間わずか+0.26%の上昇に留まりました。夏枯れ相場そのものです。月初の8/1、アノマリーどおり上昇し+0.87%となりました。7月月間上昇率と比較すれば3倍強ですが、とはいえ1%未満とわずかな上昇です。「逆張り」投資であれば気づけない程のわずかな上昇ですが、これが「吹き値売り」のチャンスです。
7月の売買の結果7末時点で口数にして+7.3%買い増しました。時価総額 は+2.5%膨らみました。TOPIX上昇率の約10倍です。額にして+7.8万円です。評価損益率は+2.7%の黒字の状態で7月を終えました。
そしてやって来た8/1、大きく売りました。売るとは元本確保型商品(定期預金)へのスイッチングです。この日の売りの結果、口数は+7.3%→+4.0%に減らしました。額にして10.5万円を利益確定しました。こうして7月に膨らんだ時価総額+7.8万円を上回る額を現金化しました。評価損益率が黒字の状況下なので心理的に安心して「吹き値売り」にトライできました。相場はほとんど動かなかったのに利益を出すことができたのです。
まとめ
利益が出たといってもその利益は再投資に回ります。次の「買い」が良い結果を生むとは限りません。結局のところ、利益確定は一瞬の満足であり、次の投資の原資を得たという意味合いでしかありません。株式投資であれば確定した利益で飲んだり食ったりして満足を体感できますが、真面目に資産形成に取り組む人は道楽に利益を使うなんてことはしません。確定拠出年金は60歳まではバーチャルなマネーなので、利益確定は通過点に過ぎないという事実に、真面目に運用すれば自ずと気づきます。
利益確定では、資産状態の妥当性を評価できません。「利回り」に着目すべきです。利回りについてはまたの機会に述べたいと思っています。