水素戦略が本格稼働、世界的な潮流に

水素社会が実現するならまずは日本かな?
エネルギー資源を海外に大きく依存する日本は、輸入して活用するまでのサプライチェーンの構築が得意です。原油やLNGの分野で蓄積してきた構築のノウハウをおおいに活かせそうです。
水素ステーションを張り巡らせるには国土が狭い日本は他国と比べれば低コストで実現できるのかもしれません。

漠然とはそんな印象をもっていた水素基本戦略ですが、「2050年までに温室効果ガスの排出ゼロ」を10/26の菅総理が所信表明演説を受けて本格稼働です。
世界に先駆けいち早く2017年に戦略を打ち立てた日本でしたが、各国でも相次いで戦略が策定され世界的な潮流となってきました。




水素基本戦略

日経新聞12/8『水素 30年に主要燃料に』によれば、水素利用量を2030年時点で1000万トン規模とする目標を設ける調整に入りました。2017年では30万トンとしていたので大幅な目標UPです。30万トンは原子力発電所1基を1年稼働させられる量で、1000万トンなら30基以上を稼働できるとのことです。
課題はやはりコスト。1N立方あたりで100円程度でLNGの13円程度と同等にまで抑えられるかがカギです。

各国の動き

ドイツでは6月に国家水素戦略を発表し、中国では9月に燃料電池車の技術を開発する企業への奨励金制度導入を発表しています。
日経新聞12/11『豪、「グリーン水素」輸出へ』によれば、化石燃料を使わない「グリーン水素」の量産にオーストラリアが動き出します。製造時に出る温暖化ガスを地中に戻したり工業原料などに再利用したりする「ブルー水素」に比べ割高です。風力や太陽光発電に向いた広大な土地があるほか、資源ビジネスへの恵まれた投資環境があることがプロジェクトを後押ししています。オーストラリアは昨年11月に国家水素戦略を発表し2030年をめどに「水素大国」になることを目指すと宣言しています。
豪州の低品位の石炭「褐炭」から水素を取り出して液化し専用線で運搬する事業を、川崎重工業や電源開発が2021年3月にも開始する見通しとのことです。

まとめ

トヨタ自動車や岩谷産業が12/7「水素バリューチェーン推進協議会」を立ち上げました。トヨタ自動車はFCV「ミライ」の新型車をこの12月にも販売予定です。水素ステーション整備に取り組む岩谷産業は翌12/8に一時13%高となり期待の強さが伺い知れました。民間を巻き込んだ動きが本格化しています。