12月第4弾は合意なくても延期?香港人権法に署名

米中貿易摩擦は、部分的な合意「第一段階」の成立が間近とささやかれてきたわけですが、先週からの香港をめぐる情勢で思惑は一変しました。

 

香港での人権尊重や民主主義確立を支援する「香港人権・民主主義法(香港人権法)」を米国では上院が11/19に満場一致で可決、下院が11/20に反対わずか1名とどまるほぼ全会一致で可決しました。

11/24に行われた香港区議会議員選挙では親中派が大敗し民主派が議席の8割を超え圧勝しました。

すぐにトランプ大統領は署名するものと思われていましたが、珍しくしばらく様子見。しかしついに11/27署名して同法は成立しました。

 

中国はもちろん内政干渉だと反発しています。国家主権に関わる問題は、貿易問題以上に妥協が許されません。貿易摩擦の合意は遠のいた感が否めません。




香港人権法

同法の成立で何が変わるのでしょうか?

11/29日経新聞『米中対立 新たな火種』によれば、高度な自治を保障した「一国ニ制度」が機能しているかの検証を米政府に義務付けるのが柱。香港の言論、集会の自由や司法の独立の状況を踏まえ、優遇の是非を議会に毎年報告させ、後退後退していると判断すれば関税やビザの発給の優遇を取りやめることができるとのことです。

効果があるとみられているのが、香港の18日を犯した中国や香港政府の責任者を特定し、米国内の資産凍結や米国への入国禁止などの制裁を課す条項だと当記事は述べています。

香港区議会議員選挙

逃亡犯条例改正案に端を発した6月からの大規模デモへの支持を民意が受け入れた格好です。11/26日経新聞『圧倒的民意 中国に圧力』によれば、 2015年までは民主派が126議席、親中派が298議席議席で親中派が圧倒的な状況でした。それが今回の選挙では、民主派が385議席、親中派が59議席で大逆転となりました。

2020年には立法回選挙が、2022年には行政長官選挙が控えています。これらは業界団体などが選ぶ間接選挙となるため、親中派に有利とされています。これらの選挙のあり方にも今後疑問の声が高まりそうです。

 

中国では今回の選挙の結果がほとんど報じられていないようです。選挙の前は、中国上層部は親中派の勝利を確信していたようで、 香港市民に投票を積極的に流していたようです。実際に投票率は史上最高最高だったわけですが、蓋を開けてみれば民主派に票が回っていたわけです。中国上層部に香港市民の民意が伝わっていなかったことが露呈しました。中国のメンツは丸つぶれの格好です。

 

まとめ

逃亡犯条例改正案の取り下げを行政長官が9月に表明して、香港のデモが収まるものと対岸から見ている身としては思っていました。デモの暴徒化暴徒化で実体経済は疲弊の色を増しています。

しかし、香港の民意の力が米国を巻き込み圧倒する状況が明らかになってきました。

 

貿易摩擦の部分合意は先延ばしになりそうです。12/15には米国が対中製品に対する制裁関税「第4弾」を表明していますが、それは一時的に取りやめて米中対立の激化を阻止しようと動くのだろうなぁ、きっと。