ユニクロを展開するファーストリテイリングは、4/11発表の好決算を受けて株価上昇が加速し、ついには史上最高値をつけるに至りました。目下、ファーストリテイリング(以下、ファストリ)が株式相場の牽引役をしっかり果たしています。
NT倍率の上昇はとまらない
ファストリの株価は良くも悪くも株式相場を歪めています。
ファストリは、日経平均株価の構成率が高い「値がさ株」としての筆頭として知られる銘柄です。構成比率は日経平均株価のおよそ10%を占めます。
直近は、ファストリの好調に連動して日経平均は上昇しています。4月になって年初来高値を更新し、昨年12月以来の2万2000円台を回復して良いムードが作り出されています。
ところが、日経平均ばかりみているとつい株式市場全体が好調と錯覚してしまいます。東証1部全銘柄で構成されるTOPIXは動きが冴えません。
日経平均をTOPIXで割った比率は、NT倍率として知られています。日経平均が2万2000円を回復した4/15以降、NT倍率は13.6を超えました。4/19終了時点で13.73です。
楽天証券トウシル
に1980年からのNT倍率の推移がグラフとなっていますが、1990年代末以来の高い水準です。
NT倍率は昨年6月頃から上昇傾向です。当時、こんな記事を書いていました。
歴史的珍事なんて驚いていました。振り返れば珍事ではありませんでした。歴史的な転換点だったというのが正しい表現なのかもしれません。NT倍率の上昇は止まりません。
海外展開に積極的な小売
ファストリの中間期決算は、純利益が前年同期比9%増の1140億円と過去最高でした。日経新聞4/12『ファストリ、中国依存増す』によれば、国内のユニクロは暖冬の影響で秋冬商品が苦戦し減収減益だったものの、中国を中心に海外が好調でした。
当記事に掲載のグラフによれば、2015年以降、国内売り上げは上昇しているものの8000億円あたりで均衡しています。対して、中国は3000億円から5000億円の水準に大きくジャンプアップです。
貿易摩擦、中国景気後退の報道が氾濫する最中、ファストリの決算はサプライズでした。内需主体の小売であっても海外展開に積極的な企業は強い、と印象付けられました。
2月期決算の小売・サービス業の決算が出揃いました。ちょっと意外ですが、日経新聞4/18『小売り・サービス1割増益』によれば、131社のうち8割にあたる106社が来期は増益を見込んでいるとのことです。ところが、人手不足、原材料高、そして消費増税の壁は依然立ちはだかっています。
今期が6%減益で来期予想の1割増とのことです。せいぜいリバウンドの域での回復のように記事のトーンから感じました。
やはり、ファストリのような海外展開に積極的な小売と、小売・サービス全般との動向は同一視できないのだろうとおもいます。NT倍率のような株価指標に違いが現れているように感じます。
まとめ
私の確定拠出年金の国内株式連動商品は、TOPIXをベンチマークとしています。ふだんは日経平均をみて市況の変化をみていますが、ときどきはNT倍率をみて心理的な歪みを矯正しています。