5月に米中貿易交渉は決裂し、6月より米国は対中国製品に対する制裁関税「第4弾」を発動を検討しています。これを受けて中国もやはり追加関税で報復に出る見込みです。
セル・イン・メイの格言どおり、5月の株式市場は暴落です。
株式市場は、またもや金融政策に大きく頼らざる得ない局面がやってきました。5月終盤から市場で作り出されてきたのは、「米政策金利の利下げ」ムードです。
これは本日6/8時点での過去3年間の米10年債利回りとS&P500指数の相対比較チャートです。
過去3年には米トランプ政権がすっぽり収まります。2016年11月前後と現在に2つの転換点がチャートにはみえています。
2016年11月大統領選
世紀の番狂わせといわれた大統領選でのトランプ氏勝利は2016年11月です。政治経験がないビジネスマンが大統領になるとあって、経済優遇の施策がとられるとの思惑から株式市場は急上昇です。トランプラリー(トランプ相場)のはじまりです。
2008年リーマンショックから続く金融緩和の縮小局面にありました。将来やってくる次の景気後退に備えて政策金利は引き上げておく必要があります。トランプラリーは利上げにも耐えうる強いトレンドと捉えられ、米国10年債利回りは2%台に急上昇です。上のチャートではS&P500指数を米国10年債利回りが上回る転換点となりました。
2018年11月中間選挙
「アメリカ第一主義」を掲げポピュリズム色を前面に出して当選したトランプ政権は、政権運営力が不安視され2017年前半は、米国10年債利回りは下落に転じました。
ところが、史上空前の大型減税の審議が本格化した2017年後半から、米国10年債利回りは再び上昇に向かいます。大型減税は2017年12月に可決しました。
さらには、2018年に入りトランプ政権は貿易戦争を仕掛けてきました。安全保障上の理由というこじつけでアルミ・鉄鋼の関税が引きあがられ、7月には対中輸入品への追加関税を発動しました。貿易戦争は米国に有利に働くとの見立てから、米国株は上昇を持続しました。
中間選挙では米国10年債利回りは3%台でむかえることができました。上のチャートではS&P500指数との乖離がピークに達しました。
そして今
中間選挙対策と当初はみられていた貿易摩擦は、「アメリカ第一主義」の本質であることが鮮明になってきました。中国の発展を放置しておけば米国の技術・知財は流出し、米国は衰退してしまいます。その危機感から貿易摩擦は続いています。
グローバル化が進んできたサプライチェーンは混乱をきたし、企業業績の悪化が顕著になってきました。上のチャートではS&P500指数を米国10年債利回りが下回る転換点に差しかかています。
まとめ
米政策金利の利下げムードは、マーケットが作り出したものです。本当に実現するかはさておき、FRBはムードを冷やすような発言はできない状況になっています。
6/18~19のFOMCが迫っています。今回の会合は、利下げを巡り注目が集まりそうです。