「複利の罠」の罠

複利とは、投資の妥当性を測る尺度です。

実際には複利には”罠”があります。でもだからといって、複利の考え方を抜きにして自分の投資の妥当性を判断できません。「複利の罠」の罠にはまらないようにしたいところです。




複利とは

新聞紙を2回折って、さらに折ってとずっと繰り返すと、2、4、8、16、、、と積み重なっていきます。実際には折ってみるとわかりますが、頑張って折れるのは7回、128枚に重ねるまでです。その後は架空の話になりますが、たった26回折った時点で富士山を超える高さとなるそうです。

数字の累乗の話は、体感としてなかなか理解できません。私は仕事でときどきプログラムを作ります。建物には柱が10本必要だとします。そして採用できる柱が5種類だったとします。すべての組み合わせの建物データを作ってみようとプログラムを実行したところ、パソコンの画面は固まり熱を帯びてきてファンが唸り始めました。。5の10乗は、約1,000万(=9,765,625)です。慌てて気づき強制終了しました。。

累乗の話を投資に持ち込んだのが複利です。

含み益が出たら売り、獲得した利益を相場が下がったときに再投資します。相場が上がるとは元本が増えている分、大きな含み益が出ます。利益確定と再投資を繰り返すことで累乗効果が効いて資産が増大するわけです。

たとえば、最初に元本が100万円あり、10万円の株式を10口買ったとします。その後、株価が2倍に上昇すれば含み益は100万円です。手じまいして株価が10万円に戻ったところで買い直します。次はもとの元本と合わせて200万円からのスタートです。株価が再び2倍となれば今度は200万円の含み益です。

(100)→200→400→800、、、7回繰り返せば1億円に到達します。

複利の罠とは

実際にはこう簡単にはいきません。「相場が上がったら売り、下がったら買う」に成功し続けるのは、プロであっても至難の業です。

さきほどの例で、最初の1回は失敗だったとしましょう。10万円の株価が下落し半値になったとし半分を損切したとします。その後は成功を続けたとし、株価が2倍になればすべてを売り、株価が元に戻れば買い直すを繰り返します。

初回の失敗は手痛いです。5万円×5口で25万円からのスタートとなるので、

(100)→25→50→100→200、、、と推移します。

最初に失敗しただけで増加の推移は1/4となってしまいます。その後の成功が保証されていればこれでも立派な成果です。実際には失敗は幾度となくおとずれます。相場が下落基調で損切りを続ければ、

(100)→25→12.5→6.25→、、、と瞬く間に資産を失います。

株価が50%になって元の値に戻るには200%の上昇が必要です。10万円の50%は5万円。5万円の200%が10万円です。ごく当たり前ですが、人間の心理は同等には感じません。50%の下落にショックを受けると、次に200%の上昇は期待できなくなります。ショックが記憶に残ります。相場が下落して損切りを続け資産を失うなんてことはリアルにありえます。

株価は長期的には上昇すると見込まれるため、複利効果を活かした投資が推奨されます。でも、損切りをすれば複利がマイナスに作用します。これが、複利の罠です。

 

「複利の罠」の罠

罠にはまらないためには、どうしたらいいのでしょうか?

①まず、損切りをしないことです。損切りをしなければ元本は減りません。株価がどんなに動いても売買しなければ元本は、

(100)→100→100→100→、、、

です。

②損切りをせず株価が安いときだけ買うことです。つまり積立思考で投資にのぞむことです。長期的な株価上昇を信じられるのであれば、株価が上がっても下がっても定期定額で積み立てるドルコスト平均法で投資するとよいです。

③長期的な株価上昇を信じられない人もいます。そんな人は、保有口数をコントロールします。保有口数がすくなければ、そもそも売買に失敗しても被害を軽減できます。

 

①と②は罠にははまりませんが複利を生み出せません。複利を得るには利益確定の行為が必要です。私は確定拠出年金を次の方針で運用しています。

・国内株式連動商品で③を実践しています。日本株はリスク回避で売り込まれるシーンが多いです。日本株は世界のリスク請負人、立派な存在です。私は、この日本株の特徴からして、長期的な株価上昇を願いはしつつも信じるには至っていません。相場の波に合わせた「毎日スイッチング」によってコツコツと利益を獲得し再投資を繰り返す戦略をとっています。

・国外株式連動商品については②と③を組み合わせています。世界全体でみれば株式市場は長期的に上昇するのではないでしょうか。そんな想いがあるのと毎日スイッチングは手間もかかるので、国外株式連動商品はドルコスト平均法による積立が基本です。大きく上昇したときにわずかに利益確定する程度です。

・わずかながら債券連動商品とバランス型商品を保有しています。これは①です。まったくのほったらかしです。値動きをみたいのと、株式連動商品に好機がおとずれたときにスイッチングできるように待機目的で保有しています。

 




まとめ

複利は、累乗の話とともに理解されています。新聞紙を折り続ければ富士山の高さを超えると聞くとチャレンジの気持ちがわきます。でも「複利の罠」を知ると途端に臆病になってしまいます。累乗の世界は人を面白くも怖くもさせます。

 

実は私は、複利のメリットを累乗の話とは別の側面から大事にしています。冒頭に述べたように、

複利とは、投資の妥当性を測る尺度です。

複利を一年間当たりに換算したのが利回りです。「複利の罠」に知りつつときには痛い目に遭いつつ、日々のマーケットで株式は売買されています。市場参加者の総和として出てくる株式の利回りはおよそ5%です。逆に言えば、5%の利回りを期待して株式市場は形成されています。つまり、株式市場の利回りと比較して自分の投資が妥当な水準にあるのか私は判断しています。

私の確定拠出年金の「初回入金来運用利回り」は足元5.17%。5%を安定的に超える水準をキープすることを目標に運用しています。複利は、過度な期待と警戒をせず上手に付き合うことが大切です。




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