凌ぎの手筋? 株主大還元が暴落回避か2019年

2018年の世界的な株式市場の暴落以来、年初より戻り局面にかわりましたが疑心暗鬼です。もはやノーテンキな株高局面は期待できません。

企業に吹き溜まる緩和マネーは、株主還元に向かっています。日経新聞3/15『配当落ちで1000億円の買い』によれば、来週3/27の3月期決算企業の配当落ちは過去最大になりそうです。この記事にあるグラフによれば日経平均の配当落ちは160円ほどです。直ぐに埋め戻せるでしょうか?株主に戻ったままマネーは帰ってこないのかもしれません。

 




2019年3月現在の雰囲気

3月はじめまでは米中協議の進展の期待から株式は上昇しました。3月に予定されていた米国での中国製品への輸入関税率引き上げを延期に持っていけたという点では進展はあり、さらなる貿易摩擦に待ったがかかり良かったです。
また3月中旬までは、中国全人代での2兆元(約33兆円)の大型経済刺激策の表明で、株式市場は年初からの高値圏を維持してきました。

こうした直近のトレンドは息切れしてもおかしくないのが2019年3月下旬に入った現在の状況です。

中央銀行の金融政策はこれまでの引き締めを緩めようとしています。先の欧州ECB会合では、利上げ時期を夏以降としていたのが年末まではずれ込みそうです。米国では3/20〜21のFOMCで今年の利上げはすべて見送り、資産縮小は早くも今年内に終わりとの見解をパウエル議長は示しました。

マーケットが想定する以上に中央銀行の見方はシビアだなぁ。そんな印象です。金融政策は緩和されたのに株式市場の上昇への反応は限定的です。国債利回りの低下ばかりが目につきます。高利回りを求めてREITに資金はドッと押し寄せています。

株主還元で凌ぐ

日経新聞3/21『世界株主還元10年で2倍』によれば、世界の企業の配当と自社株買いの合計は過去最高の2兆3786億ドル(約265兆円)です。当記事によれば、

・世界のGDPは2017年は約80兆ドルなので、その3%弱にあたり10年前の2%弱から比率は高まっています。

・世界の設備投資額に匹敵する規模にまで膨らんできています。設備投資と研究開発費の合計と比べると10年前は株主還元額は倍以上離れていたのに、2割程度まで縮小しています。

M&A(合併・買収)によって、不当に高いのれん代に企業に吹き溜まったマネーがまわっています。株主還元も、使い道がないから株主に払い戻すという消極的な側面はあります。

株主還元が増えたからと手放しで喜べる状況ではありませんが、今年もこの傾向は続くのではないかと思います。

 

まとめ

米国の大型減税の効果は今年秋で切れるとの見方が強いです。一方、中国の経済刺激策は今年秋頃から効果が現れるとの声が出ています。株主還元が凌ぎの手筋としてより一層期待が集まりそうです。