米中貿易摩擦は、またもや悪化の局面です。米国は5/10、中国製品2000億ドルに対して関税を10%から25%に引き上げました。
この問題は昨年2018年来の世界の株式市場を大きく揺さぶってきました。当初は、昨年11月の中間選挙向けの対策対策と見られてきましたが、その後も収まる気配がありません。
問題が長期化しているので、ときどきでブログ記事を書いて整理しています。
昨年2018年7月が第1弾だとすると、今回の制裁関税は第3弾+ αといった位置付けです。
米国の対中制裁関税は第3弾+α
日経新聞5/11『米中、歩み寄り難しく』に掲載されている図がわかりやすいです。
中国製品に対する米国の制裁関税は、2018年7月に340億ドル相当の品目に対して25%にアップしたのが第1弾です。翌8月に260億ドルに対して25%としました。ここまでで計500億ドルに対して25%制裁を課すとしました。
そして第3弾は翌9月です。3か月連続での追加となりました。2000億ドルに対して10%アップです。以降、この分の関税を10%→25%に上げると中国に対して脅しをかけてきました。今回これをほんとに実施するとなったわけです。いわば第3弾+ αといった位置づけです。
結果として、累計で2500億ドルの製品に対して、25%の制裁関税を発動することとなりました。
第1弾はロボットや工作機械など約800品目、第2弾は半導体や化学品など約300品目、第3弾は家具や家電など約5700品目などです。
それでも、まだ3250億ドル相当の余力があるとのことです。iPhoneで使われている電子部品なども将来的には制裁関税の対象となる可能性があります。
後日談5/12:
日経新聞5/12『米中、突き当たった岩盤』によれば、3250億ドル相当をも対象とする「第4弾」の検討が本格化しています。
米国の輸入額は中国の4倍
この問題は米国が優位に進めてきました。というのも、米国の輸入額が中国の4倍にも相当するため、コントロールしやすいためです。次のブログ記事で記しています。
日経新聞5/11『貿易摩擦 痛み中国に』によれば、2500億ドルの製品のうち7割は値上げがしにくい品目と分かったとのことです。価格弾力性が乏しい品目を選んで米国は関税をアップしてきました。
本記事掲載の図によれば、これまでの貿易摩擦で米国の消費者物価指数は2%前後でほぼ同じ水準です。一方、中国の生産者物価は昨年7月以降に低下しています。今年1月以降は改善していましたが、今回の追加関税で低下するものとみられます。
まとめ
中国にとって一段と厳しい状況となりました。この1年のS&P500株価指数と上海総合の推移を比較しても、米国が常に優位です。4月下旬から上海総合は急落しています。これからもジッと観察していきたいとおもいます。