エアバス超大型機の終焉、アジアの旅客需要

2月上旬の旧正月が終わりました。渋谷の街を歩けば中国語が飛び交っていましたし、中華圏に住む同僚は帰国してなんだか閑散とした気持ちになりました。もはや旧正月は日本でもなじみの深い年中行事です。

今年2019年1月から中国は、不正な転売の防止のため輸入品のインターネット販売を規制をはじめました。インバウンド消費への打撃が心配されます。ただ、日経新聞2/22『1月の百貨店免税売上高 26ヵ月ぶり前年割れ』によれば、その影響はあるものの春節商戦では来店客が増加し化粧品や高級品ブランドの雑貨、婦人服などの販売が堅調だったようです。

貿易摩擦による景気減速ムードが漂う中、訪日外国人旅行客は昨年2018年は3,119万人となり過去最高を更新しています。旅客需要が大崩するという事態までにはまだ至ってないように見受けられます。

 

ここのところ「旅客需要」という点で新聞紙面を読んでて眼を見張るは、航空機メーカーの動きです。また、訪日外国人旅客の増加は東京オリンピックによる「特需」の感を受けがちですが、アジア各国での旅客需要の増加が大きなうねりを作り出して日本にまで波及しているようにも感じます。

 




主戦場は小型機へ

2/14、欧州エアバスは超大型旅客機A380の生産中止を表明しました。日経新聞2/16『追い風 小型旅客機で攻防』によれば、主戦場は小型機に向かっています。

座席数でみると、

大型機:300席超

中型機:200〜300席程度

小型機:100〜200席程度

リージョナル機:50〜100席程度

と航空機は分類されます。超大型機とは500席超との航空機とのことで、エアバスA380やボーイング社の747型機が該当します。超大型機がそれ以外の分類と違うのがエンジンの搭載数です。超大型機は4基を備えています。信頼性の向上や規制緩和で2基の機体でも運航の制限が少なくなっており、燃費のかかる超大型機は劣勢に立たされました。

加えてLCCの台頭です。大都市間を結ぶ事業モデルを得意とした大手航空会社は、超大型機を重要視したようです。一方で、需要が少ない都市間は小型機で結んでいました。当記事に掲載のグラフからは、エアバス、ボーイングともに受注残の7割程度が小型機で締めています。

アジアの旅客需要

こうした状況の裏付けとなるのが、たとえば1/16日経新聞『ベトナム第3のLCC、バンブー航空就航』です。ハノイ、ホーチミンとリゾート地を中心に2019年中に37路線を開設され、日本や韓国、シンガポール、欧州などを結ぶ路線も計画しているといいます。マレーシアの大手LCCがベトナムへの参入を決めています。

2/21日経新聞『インド国内航空の旅客増加率、4年半ぶり1ケタ止まり 1月9%増 』では、直近月の旅客減が話題になるほどで裏を返せば10%超の増加が常態化してきました。

小都市間に住む富裕層・中間層の増大やリゾート地の開発が、小さな航空拠点を増やし旅客需要を劇的に増やしている状況が伺えます。

 

まとめ

日本の航空機業界にとっても明るいニュースが本日2/23の紙面を飾っています。『ホンダ、超小型機納入で連覇』です。ホンダジェットが超小型機の分野で37機納入で2年連続首位とのことです。

三菱重は民間ジェット旅客機「MRJ」で想定外の損失がなくなったことで4〜12月期の純利益は前年比30倍と大幅に改善しており(2/21日経新聞『4〜12月 決算番付 純利益増加率 三菱重・IHI、上位に』)、開発の遅れの巻き返しが期待できそうです。