ジャンク化深まる、世界で社債デフォルト10兆円

このコロナ危機で、米FRBは社債買い入れを個別企業に広げ、ハイイールド債にまで手を伸ばしています。

日銀も社債の買い入れ枠を拡大しました。

 

個別企業の実力ではどうにもならない難局です。中央銀行が社債の買い取りにまで拡充することは致し方ない状況です。

そしてこの成り行きとしてやはり社債の信用力の低下(ジャンク化)は深まっています。




ジャンク化で返済優先、投資後回しの悪循環

日経新聞7/6の1面トップ『格下げ最多 世界で1400社』によれば、米格付け会社S&Pグローバルが格下げした社債発行企業は、前年同期比で3.4倍に増えています。

格付けは企業の債務の返済能力を示すものです。S&Pグローバルの格付けは、トリプルAが最上位でトリプルBまでが投資適格級です。ダブルB以下が投機的等級とされハイイールド債と通常よばれます。

格付けが下がると、借り換えのコストが高くなるので返済が優先され、投資が後回しとなります。中央銀行の社債購入プログラムが奇しくも企業の体力を弱める流れをつくっています。

 

日銀はトリプルB相当を買い入れ対象としています。日経新聞7/16『「格付け」社債 警戒強く』によれば、日産自動車は「トリプルBマイナス」の格付けをなんとか取り付け7/15に起債できたとのことです。

格付け会社が企業や国の命運を握っています。日経新聞7/23『ムーディーズ、国連と対立』によれば、米格付け会社ムーディーズがエチオピア、パキスタン、カメルーン、セネガル、コートジボワールの5カ国の格付けを引き下げるとして国連と対立しています。G20が主導でこれらの国の債務返済の猶予措置を取ったことで、民間債権者にリスクをもたらすとして格下げをしたとのことです。

世界で社債デフォルト10兆円

返済能力が尽きて債務不履行に至る企業も急増しています。日経新聞7/18『社債不履行世界10兆円』によれば、4~6月期の債務不履行額が四半期で最高でリーマンショック時の2倍にのぼったとのことです。地域別では米国が全体の約75%で、次いで欧州が14%、中国が3%とのことです。

融資の焦げ付きに備えた貸倒引当金などの信用コストも急増です。日経新聞7/18『米銀の備え、リーマン級』によれば、米国の主要6行は4~6月期の決算で信用コストを前年同期比で7倍に増やしています。

 

まとめ

社債購入による金融緩和で、株式市場は3月の急落からV字回復しました。でも、じわじわと負の側面が顕在化しています。ここからが相場の正念場なのかもしれません。