無人の恐怖、世界石油供給量5%強が一瞬にして吹き飛ぶ

なんとも。。人命被害があったならば既に紛争に突入していてもおかしくない事態です。

9/14、サウジアラビアの国営石油会社アラムコの石油施設が攻撃を受け、同国の石油供給量のおよそ半分を一瞬にして失いました。世界の供給量の5%強にもあたるとんでもない量です。




9.11が頭をよぎった

第一報をみた瞬間、頭をよぎったのが2001年の「9・11」です。ワールド・トレード・センターにジャンボ機が突っ込み炎上する映像はあまりに衝撃的でした。翌日には、首謀者ウサマ・ビン=ラディン氏が潜伏するアフガニスタンへの開戦を米ジョージ・W・ブッシュ大統領は宣言し、今でもくすぶり続ける紛争に突入しました。

事件を受けてWTI原油先物は15%超の急騰しました。ただ、原油市場の混乱もさることながら1週間たった現在でも「誰が」攻撃したのかはっきりしていないことが、今回の事件の不気味さを増しています。9.11はすぐさま主犯を米国は断定しました。今回の件では、米国はイランの関与を主張していますが断定には至っていません。おそらく高度な軍事機密に阻まれて、一般人が目に触れる報道になっていないことも多分にあるのだとおもいます。当事国のサウジアラビアとイラン、米国、それぞれの思惑による政治の力学でなんとか混乱を沈めようとしています。

無人攻撃の不気味さ

日経新聞9/16の一面トップ『原油供給リスク広がる』によれば、中東のイエメンで活動する親イラン武装組織フーシが無人機10機で攻撃したと発表しています。米国はイランの関与を主張し、イランは否定しています。イエメンからは遠すぎて、イランやイラクの方角からが有力なんて報道も見かけます。

読んでて怖くなった記事が日経新聞9/18『米軍技術奪い中東拡散』です。イランは2011年、米軍のRQセンチネルというタイプの無人機を誘導電波で乗っ取って入手したとのことです。それをコピーして無人機を量産し、今やシリア、武装勢力ヒズボラにまで行き渡っているようです。

米国が軍事力を高めても、流出してしまえばブーメランのごとく跳ね返ってきてしまう脅威と背中合わせとなっています。。

 

まとめ

米国が戦略的備蓄を放出すると表明したり、サウジアラビアが9月末には供給が回復できると意気込んだりで原油相場は落ち着きを取り戻しています。

ただ、無人の世界で起きたことだからセンセーショナルな報道は少ないですが、起きた事件のインパクトは9.11に匹敵するものだとおもいます。日本では原発のテロ攻撃対策の強化の最中ですが本当に機能するのだろうか?原油に限らず他の分野にも大きな不安を抱かせる大事件です。