現職のしぶとさ、世論調査を覆す番狂わせは各国で再来2019年

2020年東京オリンピックのカウントダウンが始まっています。ということは4年に1度の米国大統領選も間近であることも意味しています。

日経新聞5/21『米大統領選、もはや現職は有利ではない』は、現職有利の“常識”を覆そうとの意図を持って書かれています。その根拠となる数字が出てきて説得力はあるのですが、同日9面に載っている世界各国の現職有利が漂う記事をみると、2019年の今の状況は「現職はしぶとさ」が目につきます。

2016年には、英EU離脱と米トランプ大統領誕生で、世論調査がいかにあてにならないかを思い知らされました。教訓にしてのぞみたいところです。




豪選挙では与党勝利の番狂わせ

5/18に投開票されたオーストラリア総選挙ではモリソン首相率いる野党・労働党が勝利です。『豪与党、総選挙で過半数獲得へ』(5/21)によれば番狂わせです。支持率が2年半にわたり投票日の直前まで野党を下回り、下野が確実視されていた保守連合が勝利です。議席数を伸ばしました。

野党労働党が訴える気候変動対策は都市部を離れると響かなかったようです。炭鉱閉鎖での失業増につながりかねず不興を買いました。

豪州では、ファーウェイの5G参入を禁じたり、中国人帰化申請の却下の事件などで中国との関係が悪化しています。野党が対中改善の施策を掲げたのかどうか記事には出てきません。

この結果を受けて豪株価指数オーディナリーズは2007年12月以来の高値まで上昇しました。

 

インド下院総選挙はモディ与党連合が勝利

高額紙幣廃止に物品サービス税(GST税)導入と、庶民レベルに受けの悪い施策に踏み切ったモディ政権は支持率を下げてきました。ただ、カシミール地方をめぐる印パの対立再燃で2月に空爆を強行したのを境に、支持率が持ち直しているとの報道が出てきました。

インド与党優勢で株高』(5/21)によれば、与党連合が過半数を獲得するとの民間出口調査が相次いでるとのことです。これに反応して主要株価指数SENSEXとNIFYがいずれも急上昇し過去最高を更新しました。

 

ウクライナは新大統領、ただしロシアが手玉となるか不安

これは逆の減少です。国際的な関心ごとはクリミア半島をめぐるロシアとの対立ですが、ウクライナ国内ではそれ以上に汚職事件や物価高が問題となっています。正義感あふれる教師が大統領になるというストーリーのドラマが人気を博しました。その教師役を演じたタレントが4月の大統領選で、なんと本物の大統領になってしまいました。『ウクライナ議会選前倒し』(5/21)によれば、就任と同時に議会解散を表明しました。今の勢いで自身の政党勢力の足固めが狙いです。

ただ、勢いばかりが目につきます。政治経験がない大統領は、ロシアは簡単に手玉にとって外交を優位に進められるのかもしれません。バルカンの火薬庫は、導火線に火がついてしまったのかもしれません。。

 

まとめ

インドネシアではジョコ大統領が再選を果たしています。ただ、抗議デモ、暴徒化。。

南アフリカでは、景気悪化の中、ラマポーザ大統領が再選。

日本では、安倍首相の4選の声は依然としてくすぶっています。

貿易摩擦で米中決裂で5月の株式相場は下降しています。とかく米中に注目が集まりますが、世界各国でみられる保守化の動きは警戒です。