今年2018年6月のOPEC総会では協調減産の緩和に踏み切りました。
協調減産がはじまった2017年1月は、WTI原油先物は1バレル=55ドルあたりでした。積みあがった原油のダブつきを解消するため、しかし減産すればシェールオイルの台頭を許すことになるので不本意ですが、不本意ながら日量180万バレル削減に各国は合意しました。
減産の効果はなかなか現れず、2017年6月後半には42ドル台まで低迷しましたが、それでも各国は割り当てられた減産目標を守り取り組みました。その後はほぼ右肩上がりの上昇です。2017年末には60ドルを突破、協調減産の緩和を決めた2018年6月には70ドルに到達しました。
協調減産の緩和で供給過剰の再来が懸念があったわけですが、さらに上昇し75ドルを突破しました。
イラン制裁による原油供給減
オバマ政権の”レガシー”であったイラン核合意から、欧州の反対を押し切って米国は今年5月に離脱しました。
離脱に留まらずさらに、8/7にはイランへの経済制裁を開始しました。11月からは原油取引にも踏み込む構えで、日本を含めた各国にイランからの原油輸入をストップするよう米トランプ大統領は呼びかけています。各国はまったくもって困惑しています。
イランからの供給減が原油高の要因となっています。
増産能力不足があらたな悩み
米トランプ大統領は11月の中間選挙に向けて、物価上昇は抑え込みたいところです。物価上昇に大きな影響を及ぼす原油高を嫌っています。
イラン制裁による供給を補うため、サウジアラビアには増産を働きかけています。
強調減産していた頃からは考えられないことですが、実は増産しようにもどの国も供給能力が限界に迫っているようです。
ベネゼエラはデノミにまで至った経済悪化と生産設備の老朽化でどうにもなりません。
によれば、OPECの盟主サウジアラビアですら余力がありません。6月の生産量日量は過去3年で最も増え、43万バレル増の1046万バレルに達したとのことで、危機時のための同国の余剰生産能力が「日量100万バレル未満という前例のない水準」とのことです。
それに、
米シェールオイル増産鈍化の兆し パイプライン限界、コスト高も重荷
よれば、強調減産の最中生産量を増やしてきた米国のシェールオイルも限界に迫っているようです。
まとめ
75ドルを付けたWTI原油は、8月中旬には64ドルまで一旦さげたものの8月末には70ドルに回復しました。
貿易摩擦で原油需要の先行きの不透明感が高まる中、供給能力の増強には各国踏み切れないです。増産能力不足があらたな悩みとなり原油高を誘発しています。