3月期決算企業による海外から国内への資金還流(リパトリエーション)が、円高を誘発すると云われています。
日経ヴェリタス3/11号『「年度末円高」ジンクス三たび』によれば、2016年以降、3年連続で2~3月の値動きが円高に傾いているそうです。
昨年113円台付近で均衡していたドル円は、足元105~106円台で円高トレンドです。
当記事のタイトルにあるように”ジンクス”なので、円高の要因の決定打はよくわかりません。ただ、株価が乱高下に引きずられてドル円相場をみてしまいがちですが、季節要因にも目を配るようにしたいところです。
それに、「株価が下がれば円高」は直近の現象には確かにあてはまることですが、昨年2017年は為替と株式の連動性の乖離がよく話題となりました。株安と円高の関係にも触れたいとおもいます。
年度末の円高圧力
日経ヴェリタス記事では、2つの点から「年度末には円高圧力が発生しやすい」要因を述べてきます。
・一つ目は、輸出企業やグローバル企業によるものです。決算期末を控え、海外子会社から受け取る配当や利子の国内への還流が起き、外貨から円に替える取引が強まる見立てです。
・もう一つが、銀行や生保の外債売りです。3月期決算を控えて手持ちの外債をいったん売る動きが起きやすい時期だといいます。特に米国は金利上昇局面にあります。金利上昇以上に円安が進まない限り含み損を抱えてしまいます。銀行による外債(中長期債)を2月の売り越し額は2017年4月以来の大きさで3兆5157億円だったとのことです。この点については3/9日経新聞『銀行の外債売り拡大』でも報じられています。日経新聞記事によれば、為替変動の影響を回避するヘッジコストが現在2.5%程度とのことです。米10年物国債は2月下旬に2.9%台に上昇しましたが、差し引きの利回りは0.4%程度にしかなりません。今年3~4回の米政策金利の利上げがあれば「逆さや」の懸念があります。決算期末であることに加え、逆さや懸念から外債は売られ円高圧力を高めています。
株安と円高
株安と円高の関係として、次の要因がよく報道・ニュースで取り上げられます。
・日本は工業立国で輸出産業が多いから、円高になると輸出産業に不利になるので円高になると云われます。
・あるいは、株価が下がれば円高になると「日本株は換金売りの対象になりやすい」と云われます。世界でネガティブな事件が勃発すると、リスク回避の目的での円買いのため株を売る動きが強まるというシナリオです。
私はこれまでこの程度の理解でした。でも、FXをやっている人はさらなる要因を重視しています。
株安になれば機関投資家は株を買いに走ります。日本株の売買の6~7割は外国人投資家だといわれています。彼らは株の調達のため円を必要とするため、結果として円高圧力となるというのです。その動向は為替ヘッジに現れます。実需の円買いと同時に円先物売りが高まるというのです。FXをやっている人なら、シカゴIMM通貨先物ポジションの推移を追っている人も多いでしょう。
話のポイントは、外国人投資家に日本株は操られている点です。「工業立国」、「リスク回避通貨」という観点から円高が語られる分には経済大国に住む私のような日本人には誇りにさえ感じてしまいますが、外国人投資家の存在から語られる要因には正直よい心地はしません。。でも、こうした要因も冷静に受け止めるべきだと思います。
なお、為替ヘッジに起因した円高については、次のサイト『日経平均株価が下がると何故急激に円高になるのか』が噛み砕いてわかりやすく解説されています。
http://cityville-fan.com/nikkei-down-with-yendaka.html
まとめ
昨年からのぬるま湯相場は終わりました。ここで挙げた以外にも円高要因はあるでしょう。コツコツと日々情報を集めながら、確定拠出年金の毎日スイッチングに励みたいとおもいます。