口数とは野球にたとえるならヒット数です。売買回転とは打席に立つことです。
イチローが210本打った1994年までは、ヒット数なんて野球をみる人は誰も気にしませんでした。打率よりヒット数を重視するイチローは、野球の見方を変えました。
打率は、確定拠出年金の世界では評価損益率です。赤字(▲)と黒字(△)です。取引状況報告書をみると、どうしても評価損益率に一喜一憂してしてしまいます。
私は赤字・黒字よりも、「口数」が大事だと考えています。できるだけ安くより多くの口数を保有すべきです。
イチロー効果
そして「売買回転」です。とんでもない大記録は、天才イチローのバッティング技術によるだけではありません。誰よりも打席に立ったからこそ大記録を打ち立ててきました。場数を増やすため、毎日スイッチングを私は続けています。
なお、毎日スイッチングのノウハウは、
にまとめてあります。ご参考にしてください。
この記事では、国内株式連動商品単体での運用結果を述べています。他の商品を含めた全体の結果は、
をご参照ください。
激動の2年
まずは第2軸(右軸)に現した日経平均株価から、この2年がどんな相場であったかみてみましょう。主軸(左軸)の折れ線を見る際に、「まぐれ」なのか「妥当」なのか、あるいは「ムチャ」なのかなどなど、判断材料になるかと思いあえて書きます。
4つの期間に分けて相場を振り返りました。第1期は上昇したものの下落です。第2期はさらに下落です。第3期以降は上昇でした。
第1期:2015/9〜2016/3
史上初ともいわれるチャイナ・ショックからこの2年は始まります。長期化の懸念がありましたが、12月の米利上げに向けて急展開です。でも、ムリがたたりました。チャイナ・ショックの余波や原油価格落ち込みで年初から撃沈です。カンフル剤であったはずの1末日銀マイナス金利導入は、裏目に出て相場下落に追い打ちをかけました。
第2期:2016/3〜2016/9
春先はリバウンドの兆しをみせはじめましたが、なんといっても6末の英国総選挙です。英国はEU離脱の道を選択しました。この結果、またもや相場は大暴落です。
第3期:2016/9〜2017/3
英EU離脱でポンド安。旅行客増加や輸出産業への追い風となり英経済には心地良い状況と受け止められました。実際の離脱は2年間後だから問題先送りでマーケットは楽観ムードに変わりました。
そしてポピュリズムの波が一気に高まりました。この波の勢いで、世紀のどんでん返し、トランプ大統領誕生です。当選当日の日本市場は大暴落したものの、ビジネス界の巨人の頭角とあってマーケットは一転、急上昇に転じます。米上下院の捻れ解消も好感されました。
ポピュリズムがもたらす無秩序への問題意識が高まっていましたが、5月の仏大統領選で流れが変わりました。極右候補ルペン氏を破って中道左派マカロン氏が当選しました。世界的に相場の追い風となりました。
第4期:2017/3〜2017/9
トランプ大統領の失態が相次ぎ米国の政局は空虚感が漂い始めました。一方、なんだかよくわかりませんが、世界的にファンダメンタルズの底堅さが意識された期間となりました。相場はさらなる上昇です。9末には衆院解散でアベノミクス再来の動きが出て、日経平均株価が最も高い状況でこの2年を終えました。
口数
毎日スイッチングとは、相場の波をひたすら追う投資法です。相場を先読みして裏を読む逆張りとは違い順張りです。相場が下がれば売りを強め、上がれば買いを強めます。
基準価額は前半期間は5%下げ、その後25%上げました。通算で1.2倍の上昇でした。
1.2倍の上昇は大相場です。でも、それを上回るのが私の口数の伸びです。2.6倍でした。最初の一年は基準価額が下がる一方で買い進んでいる様子がグラフからわかります。その後の1年は上昇相場にも関わらずさらに買い進んでいます。
売買回転
野球でいえば打席に立つ行為は、確定拠出年金では商品を買って売っての繰り返しに当たります。自分の資産に対して何倍売買したかを回転率といいます。取引状況報告書に載っているわけではありません。
時価評価額が取得価額を下回ったときは、売買回転を高めて元本を痛めることなく平均取得価額を基準価額にいち早く近づけようとしました。最初の一年の動きです。実際には、第1回記事冒頭で述べた通り毎日スイッチングを始めたのが第2期後半2016/6からのことですので、資産をフル回転して売買したのは2ヶ月足らずのことでした。私の手元の記録では、7月下旬から取得価額は上昇に転じています。
では、時価評価額が取得価額を上回る局面に入ると売買回転は緩めました。上昇相場の中にも小さな浮き沈みはあります。上昇すれば売りを、下落すれば買いを強めてコツコツ利益確定し再投資に回しました。
毎日スイッチングの手法を続けると手応えが増してきます。他の商品から徐々に資金を移動しました。保有口数の2%程度を、含み益が常に確保された状態で繰り返し売買しました。資金が大きくなるほど有利です。資金を何巡も繰り返し、含み益を利益確定し再投資しました。
その結果、口数は2年後に、2.6倍に膨れ上がったわけです。
イチロー効果
基準価額の1.2倍に対して、口数の伸び2.6倍でした。時価評価額は1.2×2.6≒3.2倍となり、この2年間で3倍を超える結果となったわけです。
基準価額の動きは野球の世界では打率です。口数はヒット数です。3倍超の内訳をみると、口数増加の寄与が大きかったことは明らかです。基準価額の増減比はグラフ上ではかすんでみえる程度です。平均取得価額は基準価額の水準に抑えつつ、口数は相場が上がろうと下がろうと増やす方向で運用しました。
打席に毎日立ちました。