EU無秩序離脱? 未だ光明みえず

英国のEU離脱のリミットが2019/3末に迫っています。未だ光明はみえません。

ところが株式相場は、今に至るまでブレグジットを材料とした大暴落はやってきていません。「無秩序離脱」は最終的には避けられるという楽観で動いています。地球の裏側で起こっている出来事のままで日本には揺れがなかなか伝わってこないです。

わずかな可能性がある限りは、これからも楽観で株式相場は動くのでしょうか。貿易摩擦や金利の話の方がよっぽど織り込みやすい話題で、そちらでこれからも大きく揺さぶられるとはおもっていますが、やはりココロの準備は大切です。

 

(後日談)

12/11の決議は延期となりました。1/20〜1/6は議会はお休み。1/14週に持ち越しのようです。そんなにノンビリしてていいにかなぁ。。

 

11月にEUと取り交わした離脱協定

実際には混乱のままです。EU離脱の問題はあまりに大きく、対岸から様子を眺めているレベルの私などは単純化しないと理解が進みません。。
11月にEUと取り交わした「離脱協定」は、【解説】 本当に簡単なブレグジット・ガイドによれば取り交わした主な内容は以下の3つです。

  • 英国がEUとの関係を絶つための清算金について。およそ390億ポンド(約5兆7000億円)とされる
  • 在EU英国民と在英EU市民への影響について
  • 英国・北アイルランドとアイルランドの国境に物理的な管理体制を敷かないための方法

離脱協定とは、「離脱後に何が起こるかではなく、英国がどのようにEUを離脱するかを決めるもの」だと当記事は述べています。この協定を英国議会で審議中で、明日12/11に採決の予定ですがどうも否決の公算が高いです。




北アイルランド国境問題

特に、北アイルランドの国境管理問題がここのところずっとネックになっています。

国民投票のあとに話題となった国境問題といえば、ジブラルタルでした。スペインの南の僅かな領土です。こんなところも英国なんだ!当時は驚きました。でも、今ではほとんど話題になりません。もともと英国の領有権を認めていないスペインは、現在合意を目指しているEUとの離脱案とは別に個別合意が必要との立場を取っています。

一つ一つ解決していくしかないにかもしれません。

 

そもそも北アイルランドの国境問題が顕著になったのは、2017/6の総選挙での与党過半数割れです。2016/6のEU離脱を決める国民投票では世論調査の予測が当たりませんでしたが、ここでも目論見は外れました。メイ首相は世論調査での支持率の高さをみて、突如として下院を解散し総選挙に持ち込み議席数の圧倒的優位な状況を作ろうとしましたが、無残にも過半数割れとなり「ハング・パーラメント(宙ぶらりんの議会)」に陥りました。結果として、過半数維持のためわずか10議席確保の北アイルランド地域政党(DUP)と連立を組まざる得ない状況となってしまいました。

アクションを起こすと反対勢力が台頭し状況がますます複雑になっていきます。

日経ヴェリタス12/9号のトップ記事『崩れゆく欧州』によれば、EUとの間では暫定措置として、

①20年末の移行期間終了後、英国を事実上、EUとの関税同盟を残す

②北アイルランドに限って規制や基準などはEUルールに合わせる

の案にまとまっています。離脱強硬派は①に反対、「英国との一体性が保てない」との理由でDUPは②に反対の立場です。反対勢力は1枚岩でもありません。2案あるのでかえって反対勢力は分裂してしまったようです。

結局のところ「無秩序離脱」への引力が強まってしまっています。

 

まとめ

12/11で否決でも21日以内に政府は対応策を示すことができます。党首選、解散総選挙の可能性もくすぶっています。はっきりした結論がでない限りブレグジット単独で相場を動かすのは難しいのかな。