MMT理論+ワンイシュー、世界の潮流なのか「れ新」躍進

7月の参院選は盛り上がりにかけましたが、開票してみればあらたな勢力の躍進に注目が集まっています。
山本太郎氏が3ヶ月ほど前に立ち上げた「れいわ新選組(れ新)」は2%を超える得票率を集め政党要件を満たしました。早くも次期衆院選では候補100人擁立すると意気込んでいます。8/1には当選した重度障害の議員2名が国会に初めて現れるとあってマスコミでも一躍大きく取り上げられるようになりました。




ワンイシュー「消費税廃止」が当たる

特定の政策を前面に打ち出す「ワンイシュー」は世界的な動きです。日経新聞7/3『諸派、比例に続々 浮動票に照準』によれば、欧州では既成政党が力を落とす中で、ワンイシューを掲げて議席を伸ばす政党が出てきています。英国ではEU離脱を掲げるブレグジット党が欧州議会選で第1党に躍進、ドイツでは環境政党「緑の党」が支持を広げています。
今回の参院選では「安楽死制度を考える会」「NHKから国民を守る党」「オリーブの木」「幸福実現党」「労働者の解放をめざす労働党」が比例候補を擁立しました。そんな中一歩飛び抜けたのが、れ新でした。
もはや既定路線と思われていた消費税増税に選挙終盤でフォーカスが当たったようです。日経新聞7/26『「年金」野党の思惑外れ』によれば、れ新が掲げる「消費税廃止」が投票日直前にツイッターでのトレンドワードとなったようです。
SNSを巧みに使ったれ新の戦略が刺さりました。

MMTが日本にも上陸

財源あっての政策です。消費税廃止、どうやって実現するの?
れ新がこの大胆な公約の後ろ盾となっているのが過激な経済理論MMT(Modern Monetary Theory)です。これは「インフレを抑制できている限り、政府が自国通貨で借金をして財源を調達しても財政赤字は問題でない」とする考え方で、2020年米国大統領選を目指す民主党サンダース氏やオカシオコルテス氏らが前面に打ち出していて、世界的にも広く知られるところとなっています。
緊縮財政の是非でゴタゴタ続きの欧州を尻目に、米国も日本も財政出動に現政権はおおらかです。直近の動きをみても昨日8/2には米国は9月に迫る債務上限引き上げをあっけなく可決してしまったり、日本でも7/31にプライマーバランス黒字化達成を2027年度までと2年先伸ばしにしています。英国ではジョンソン首相誕生で合意なき離脱に大きく前進してしまいましたが、この難局を財政出動で乗り切ろうとしています。依然として異端児扱いのMMTのままではありますが、かといって強い反対勢力が現れない状況では、財政のゆるみはますます進行しそうです。

 

まとめ

過激な政策(ワンイシュー)をMMTで実現する、その戦略はポピュリズムとも親和性があってしばらく続きそうな潮流です。8/1には米トランプ大統領が対中「第4弾」制裁関税の9月開始を匂わせ貿易摩擦再燃となり株式相場は大揺れでした。是非はともかくこの潮流が株式相場の下支えとなりそうな状況です。